途中で筆が乗ってしまった。
主文、被告人を高校生活3年の刑に処する____
って最初の1文だけ考えた、提出用ストーリー。「保健室」改変版。てか、「保健室」別ルート編てか、なんかそういう、派生話。
「嘘と独り(仮)」
以下、ストーリーの説明
主人公は高校1年生。入学最初の友達作りに失敗し、無事ぼっちの道を孤独に歩むボッチャー。
…………ボッチャーって今考えた言葉だけどなんか戦士っぽくてかっこいい。ぼっち戦士ボッチャー。
彼はぼっちだけど、親にはその事は秘密にしており、むしろ、自分には友達がそれなりにいるという嘘をついている。
「ぼっちでも大抵のことは何とかなる。授業中はそもそも友を必要とすることはなく、世界は己と黒板と先生だけで埋め尽くされるし、授業間の休みはたった10分、気配を消して、むしろ教室と同化するつもりで、静かに座っていればいい。読書でもしていればこんなことは簡単だ。」
「まあでも慣れないのは体育でゲリラ的に発生する、2人1組にあぶれる時の屈辱と、人気のない、薄暗く、埃の舞う物置と貸した1角で食べる、いわゆるぼっち飯だ。」
(物置スペースには小さな窓があって、そこから差し込む僅かな光で埃がキラキラ反射してる感じ)
そんなボッチャー、ある日いつもの定位置でお弁当の蓋を開けると、なんかいつもより気合の入ったおかず達がコンニチハー
「なんだこれ?」って思いながら食べる
帰宅、母親に「今日のお弁当どうだった?」曰く雑誌で「お子さんも喜ぶ!お弁当のおかず特集」なるものを見て作ったのだそう。
ボッチャーいつものように嘘をつく。
「ああ、あれ、普通においしかった。友達もうまそうって言ってたし」
「まあ、そうなの!うふふ。明日はどんなの作ろうかなー」
友達のくだりは別に言わなくてもいいってボッチャーは分かってたけど、何となく、いつものように、口から嘘がするするっと出る。
そしてそんな自分に少し失望する。
ボッチャー的には、普通の高校生がしてるような、友達と楽しく会話を交わしながら青春の日々を送る、そんな事が出来ずに、協調性もなく日々1人で過ごしてることが情けないと感じていた。
そして更に家族につく嘘の山々。顔から言葉から、我が子が楽しそうに通学している様子に両親は安心や満足感を得ていると感じ取ったボッチャーは、その理想に生きられない申し訳なさと、素直に自分の生きざまを語れない閉塞感と(その閉塞感は自分で作った)、単純に嘘をつく罪悪感に苛まれる。
ああ、この嘘が現実になれたなら!
4月の下旬。
仮入部期間は終わり、どの部活も、それまで来るもの拒まずと言ったように開きっぱなしにしてた入口を閉ざし、新しく訪れた同士たちに我が部たるものを教え説こうとする時期。
でもまだ、扉を叩けば中に入れてもられる時期。
お昼休み、ボッチャーは文芸部のチラシを手に、部室へと続く廊下の曲がり角に立っていた。
角を曲がって5つ向こうの部屋が目的地。
逡巡してやめた。
踵を返す。
部室棟は色んな部員が「今日も人生が楽しいです」と言わんばかりに、笑いあいふざけ合っていた。
圧倒されるボッチャー。
自分が不純物のようで恥ずかしくて逃げるようにその場をさり、向かう場所はいつもの物置スペース。
1歩すら踏み出せない自分に絶望しながら弁当の蓋を開けると、昨日より更に気合の入ったお弁当。
「お友達がお弁当の中身見てるなら、もっといいもの作りましょう! 」
母親の声が聞こえた気がした。
「きっと母はお弁当を作りながら、僕が数人の友達と机を囲んでお昼を食べるところを想像したんだろう。「お前のおかず俺のと交換しようぜ」なんてことまで考えてワクワクしながらこれを詰めたんだ。きっと。
幸せそうな笑顔に包まれる筈のおかずが、真っ直ぐに僕を見る。曇のない目で、混じりけのない正しさをもって、僕を見つめる。
これは罰か。
僕の怠惰と嘘の罰か。
おかずは言う。
「主文、被告人を____」
どこかから生徒の声が聞こえた。もうすぐで授業が始まるらしい。
窓から桜の花びらひらりと落ちて来た。
風が優しく吹く。
何にでもなれそうな、期待の籠る、春の日。
薄暗い物置で、僕は1人涙した。」
ざっとこんな感じだけど、もう少し端折ったりしないと収まんないねー。これ。
なんか、ぼっちじゃない人が読んで、ボッチャーの気持ちや行動が理解出来るかなって感じある。
それを説明するのが腕の見せどころなんだろうけど、如何せん字数が。
あと暗い。
暗い。
実は文芸部の扉を叩くか叩かないかが分岐点で、叩けば幸せな未来が訪れてたっていう裏設定。
このルートに行けるのが「保健室」。
まあ、この分岐前に、保健室の貞子さんと接触するとか、なんか色々立てて置かなきゃ行けないフラグもあるんだけど。
ボッチャー、セーブしとけよ。