Oshi-Ire

心の押入れ。創作とか感想とか徒然なるままに。

ホテル白鳥サイド

もしその手を離したら

すぐにいなくなるから

 

手錠に鍵をかけて

今夜今夜今夜

 

 

 

ホテルムーンサイドってこう、「独占して欲」みたいなのが魅力的だよね。

 

 

 

そんな曲聞きながらレジュメの整理してたんだけど、

 

説話の中に「白鳥処女説話」ってものがあります。

 

 

 

天女の羽衣の話。知ってる人多そう。天人女房譚だよ。

 

 

 

天女が地上に降りて水浴びしてた所を、男が発見して、

 

天女が天へ帰るために必要な羽衣をこっそり盗んで、帰れなくなった天女と結婚する。

 

男は羽衣を家の中に隠しておいたまま月日はすぎ、子供も何人か出来たある日、

 

子供が羽衣の在り処を歌にして歌ってしまう。

 

それを聞いた天女が羽衣を見つけ出して天に帰ってしまう。

 

 

 

って話。処女要素0。

 

 

 

男の悲しさを今まで考えてた。その人にとって大切なものを盗んでまで一緒になりたかった執念と、あっさり天へ帰ってしまったことのショック。

 

____今まで一緒に過ごした時間は君の地上への未練にはならなかったんだね!

 

 

 

 

 

 

天女はどうしてあっさり天に帰っちゃったんだろうって。かぐや姫でも葛藤があったのにね。男が好みじゃなかったのかなあ。とかつらつら考えてた。こういうのはどうだろう。

 

 

天女は本当は羽衣を見つけたくなかった、説。

 

羽衣を見つけたら天へ帰らなければならないから。だって彼女は天女。

 

男と暮らした時間が楽しくて子供たちは可愛くて。

永遠にこの時間が続いてほしい。

地上にずっといたい。でも天に帰らなければならない。

だから、羽衣はちゃんと隠して。

私をここにつなぎ止めて。

 

 

 

男が酔った勢いとかで(多分)子供に羽衣の在り処を教えちゃって、それを子供から聞いてしまった時、彼女は葛藤とかじゃなかったんだと思う。

 

羽衣が見つかっちゃえばここにいる理由が無くなっちゃったから。

 

 

_____どうして、もっと本気で私を地上につなぎ止めてくれなかったの

 

 

 

 

って感じかな。

 

 

 

うん。

 

 

 

 

天女は男の愚かさを呪いながら、私のこと本気じゃなかったのって悲しみながら、別れを辛く思いながら、誰より地上にいたいと思いながら、天に登っていく。

 

男は天女の痛みに気づかないまま、自分の悲しみにくれていく。

 

 

2人はすれ違ったまま物語は終わる。

 

 

 

 

 

 

なーんて。救われねー話や。

 

 

 

 

そもそもが救われないんだけど。

 

 

 

この場合、天女が羽衣を捨てて地上に残る、なんてルート進んだら、やっすいメロドラマになりさがっちゃうもんね。

 

 

なるべくしてなったバッドエンドだね。

 

 

そもそも男が何かを盗むことで始まるラブストーリーなんて、最初から破滅の臭いしかしないもんね。

 

 

 

 

でもせめて、男の寿命が来るまで、羽衣をかくしつづけてほしかったなあ。